昔受けた面接で失礼に感じた話

自分は IT 業界にいるのだけど、「ユニコーンに乗って」というドラマがやっているのを見て、数年前にとあるスタートアップ企業の面接を受けてとても失礼だと思った話をふと思い出したので書いてみる。

その企業の理念や解決したい課題等に共感し、採用面接に応募。
面談や何度かの面接、体験入社を経て内定をいただくことができた。

問題はその後である。

何が失礼だと感じたか

それは、希望年収に全く届かない額の提示をしてきたことである。

具体的な額は伏せるが、希望年収の65%程度の提示額だったのだ。
仮に希望が600万円なら390万円とか、そういうレベルである。
希望年収は、その当時の現職の年収より低い額を設定していたにもかかわらず、だ。

なぜこの金額なのか質問してみたが、自社の基準にて経験や能力を総合的に判断してこの提示となったということだった。
ちなみに、この転職の時に内定をいただいた他の企業(4社ほど)では、希望年収の95〜110%程度を提示してもらっていたので、そもそもの希望年収が高望みすぎるということはなかったと思っている。

これのどこが失礼か

この企業の基準でそう評価されたのは別に良い。それは企業それぞれで良いのだから。
問題は、この提示額になるとどこかの段階で絶対わかっていたのに条件提示の面談までやらされたことである。

「希望年収が出せなくて心苦しいがオファーさせてくれ」という気持ちで他社のように95%とかの提示をいただくならまだわかる。
自分の希望年収は伝えていたはずで、(65%かどうかはわからずとも)最終的な額が希望より大幅に下回ることなんて途中の段階で絶対にわかっていただろう。
最終的な額が希望より大幅に下回るとわかった段階で、「うちでは希望年収を提示することは難しいから、申し訳ないが選考終了とさせてくれ」と連絡をくれれば良かったのだ。

それなのに最終面接までやらされ、さらには体験入社というイベントにも参加させられ、条件提示でこの顛末である。

こちらは面接をするために現職の予定を調整したり、業務終了後に訪問して面接を受けたりしていた。
体験入社では平日丸1日時間を取ってほしいと言われ、有給休暇も取得して時間を割いたのだ。

ここまで付き合わせておいて65%の提示。
しかもその提示額、募集要項に記載されていた最低年収に少し毛が生えた程度の額である。
こちとら、その当時で15年の業界経験値を持ち合わせておったが?

さすがにバカにしてると思った。

この件についての考察

なぜこのような事が起こったのか、自分の中では3つの仮説がある。

1つ目は、人材の市場価値を知らなすぎる可能性。
前述の通り、現職の年収や当時受けた他数社で希望年収の95〜110%程度を提示いただいたことから、当時の自分の市場価値は概ね認識通りだったと自負している。
しかし、件の企業の採用担当者や経営者は世間の感覚と著しくズレてしまっており、このような判断をしてしまったという仮設。

2つ目は、中途採用が買い手市場だと勘違いしていた可能性。
まぁこれも市場を知らなすぎるに近い話。
IT 業界はある時から人材流動性が高まってきていて、転職希望者は世の中にたくさん出てきている。
件の企業に中途の応募がたくさん来ていて、企業側が優位な立場だと勘違いしていたのではないかという仮設。

3つ目は、やりがい搾取する気満々だった可能性。
この企業は当時メディアに多数露出しており、話題性のある企業だった。
また、事業内容自体も魅力的で、やりがいは非常に高かったように思うし、自分もそう思ったから選考に進んだのだ。
それ故に、提示額がどんなに低くてもやりがいに釣られて入ってくるだろう、という驕りがあったのではないかという仮設。

3つ目が濃厚だと思っているが仮設の域は出ないので、結局どういうつもりでこのような提示をしてきたのかはわからない。

最後に

スタートアップ企業がお金が無いのはわかる。
わかるが、希望年収を大幅に下回る提示になるのなら選考を中断するべき。

この転職で受けた企業の中にはアーリーステージぐらいのスタートアップもあったが、その企業からは「採用できるかどうかは今仕掛けている資金調達次第」という生々しい話をしてくれた。
最終的には「資金調達に難航していて、xx月中に資金調達できそうにないから選考を中断させてほしい」と連絡をいただき、非常に誠実な気持ちを感じた。
(自分がxx月までには転職先を決めるつもりでいると話していたので)

自分も採用面接することもある人間なので気を付けよう。